小惑星
![]() ![]() ![]() ![]() 小惑星(しょうわくせい、独: 英: Asteroid)は、太陽系小天体のうち、星像に拡散成分がないものの総称。拡散成分(コマやそこから流出した尾)があるものは彗星と呼ばれる。 概要ウィリアム・ハーシェルによって、(当時の)望遠鏡で見ると恒星のように見えることから、ギリシャ語の αστηρ(aster:恒星)と ειδος(eidos:姿、形)からアステロイド「asteroid:恒星のようなもの」と命名された。太陽系内の惑星より小さな天体であることから「minor planet:小さな惑星」、「planetoid:惑星のようなもの」などとも呼ばれた。 現在では岩石を主成分とするものを「asteroid」と称し、「minor planet」は「asteroid」に加え、太陽系外縁天体、彗星・小惑星遷移天体や準惑星などを含んだ天体の総称とされているが、「minor planet」も「asteroid」も日本語ではどちらも「小惑星」と訳される(たとえば、小惑星番号は「minor planet」の番号のことであり、「asteroid」には含まれない準惑星などにも割り当てられる)。 その多くは火星と木星の間の軌道を公転しているが、地球付近を通過する可能性のあるものも存在する。21世紀初頭まで最大の小惑星であった (1) ケレス(Ceres:数字は小惑星番号。以下同様)でも地球の月よりはるかに小さい。 また、惑星や衛星のような球形をしているのはケレスなどごく一部の大型の小惑星のみで、大半は丸みを帯びた不定形である。 位置と数位置すでに個体識別されている小惑星のほとんどは、木星軌道と火星軌道の間に存在し、太陽からの距離が約2–4天文単位の範囲に集まっている。この領域を小惑星帯 (asteroid belt) と呼ぶ。現在では太陽系外縁部のエッジワース・カイパーベルトと区別するためにメインベルト (main belt) とも呼ばれる。小惑星は木星の摂動によって、いくつかの群をなして運動する。各群はその公転周期にしたがって分類される。群の中で特に注目されるのが、トロヤ群(周期約12年)と呼ばれる小惑星群であり、これは太陽と木星との間を一辺とする正三角形の一頂点、すなわち両天体の系でのラグランジュ点に位置することが知られている。なお、トロヤ群の名は、この群で最初に発見された小惑星 (588) アキレス (Achilles) にちなむ。 1990年代以降は (50000) クワオアー (Quaoar) や (90377) セドナ (Sedna) といった、エッジワース・カイパーベルトや、さらにその外側にある trans-Neptunian objects(太陽系外縁天体、TNO)が続々と発見されるようになった。これらはメインベルトの小惑星 (asteroid) とは起源が異なると考えられているが、同様に小惑星 (Minor planet) として登録されている。エッジワース・カイパーベルトの総質量は地球質量より一桁少ない程度であり[1]、メインベルトの総質量より大きいと推定されている。 数2019年5月現在、軌道が確定して小惑星番号が付けられた天体は541,128個にのぼる(準惑星5個を含む。小惑星の一覧参照)。この他に仮符号のみが登録されている小惑星で、複数の衝を観測されたものが145,378個、1回の衝を観測されたものが106,326個あり、これらを合計すると794,832個に達する。番号登録されたもののうち、すでに命名されたのは21,922個である[1]。 直径1km程度、ないしそれ以下の小惑星については未発見のものが数十万個あると推測されている。 軌道が確定した小惑星数の増え方については小惑星番号を参照。 なお、2021年7月3日までに地球近傍小惑星は仮符号のみのものを含めて26,141個[2]、ケンタウルス族を含む太陽系外縁天体は同じく1,379個(準惑星4個を含む)が発見されている(『天文年鑑』2010年版)。 歴史1781年の天王星発見当時、ティティウス・ボーデの法則から、火星と木星の間に未知の惑星を探索する試みが行われた。1801年に (1) ケレスが発見されたが、翌1802年に (2) パラス、1804年に (3) ジュノー、1807年には (4) ベスタと、同じような位置に天体が相次いで発見されたこと、またいずれも惑星と呼ぶにはあまりに小さいことから、やがて惑星とは区別されるようになった。小惑星 (asteroid) という語は、1853年初めに考え出された。 2006年8月にプラハで開かれた国際天文学連合 (IAU) 総会で惑星の定義が採択された結果、それまで惑星とされていた冥王星および小惑星とされていたケレスと2003 UB313(エリス)が dwarf planet(準惑星)に変更され、さらに小惑星のうち十数個が将来的に dwarf planet に変更される可能性があると考えられるようになった(2008年には、新たにマケマケとハウメアが dwarf planet に変更されている)。また小惑星はTNOや彗星とともに small solar system bodies (太陽系小天体、SSBO) というカテゴリーに包括されることになった。 これを受けて、日本学術会議の小委員会は2007年4月9日の対外報告(第一報告)において、dwarf planet, TNO, SSBO の訳語としてそれぞれ「準惑星」「太陽系外縁天体」「太陽系小天体」の使用を推奨することを提言した。なお、準惑星については当面の間、教育現場などでは積極的な使用を推奨しない方針。 →詳細は「惑星 § 日本学術会議の対外報告」を参照
起源メインベルトの軌道長半径がティティウス・ボーデの法則にほぼ合致するため、昔この位置にあった惑星が何らかの原因で破壊されて小惑星帯が作られたとする惑星破壊説が唱えられたこともあったが、メインベルトの小惑星の質量を合計しても惑星の質量には到底達しないことなどから、現在は支持されていない。またすべての小惑星が同一の起源を持つわけではなく、かつて彗星であったものなども含まれると考えられる。一方で、火星の衛星フォボスとダイモスなど、かつては小惑星だったものが他の天体に把捉されてその衛星となったと考えられている天体も存在する。 メインベルトにある小惑星発生には2つの要素が働いたと考えられる。1つは太陽系形成時にこの付近にダスト成分が少なかったことがある。通常原始太陽系円盤は内側から外側に向けてガスや塵が少なくなるが、メインベルト付近から外は水などの揮発成分が凍るため内側よりも固体成分が多くなり、結果的にメインベルト領域が固体存在量が最も少なくなる。もう1つは木星が先に形成された影響がある。巨大ガス惑星の木星が及ぼす重力によってメインベルト付近の微惑星の軌道が乱され、相対的な速度差が大きくなり、合体よりも破壊される傾向が強まったという[3]。 命名規則小惑星の名前については、現在では天体の中で唯一、発見者に命名提案権が与えられている。 まず、新天体と思われる天体を2夜以上にわたって位置観測し、その観測結果が小惑星センター (Minor Planet Center, MPC) に報告されると、発見順に仮符号が与えられる。 仮符号は以下の書式に従う英数字からなる [2]。
→詳細は「仮符号 § 小惑星」を参照
仮符号を付けられた天体は既知の天体との軌道の同定作業が行われる。最終的に軌道が確定して新天体だと確認されると、小惑星番号が与えられた上で命名される。 発見者(すでに死去している場合は軌道確定のための計算を行った者)によって提案された新小惑星の名前は IAU の小天体命名委員会によって審査される。名前はラテン語化するのが好ましいというのが世界的な暗黙の了解事項であるが、現在ではそうでないものも多い。その他にも、「発音可能な英文字で16文字以内であること」、「公序良俗に反するもの、すでにある小惑星と紛らわしい名前[注 1]は付けられない」、「ペットの名前[注 2]は推奨されない」、「政治・軍事に関連する事件や人物の名前は没後100年以上経過し評価が定まってからでないとつけられない」、「命名権の売買は禁止[注 3]」などの基準がある[3]。 なお、トロヤ群はトロイア戦争に参加した戦士[注 4]の中から、ケンタウルス族(後述)にはケンタウロス族の名前、太陽系外縁天体には各民族などの創世神話から命名を行うという規則がある[注 5]。 また、人名については、かつては「姓・名」を分けて命名できた((3744) ジャック・ロンドン (Jack London) など)が、21世紀初頭には姓と名を結合した命名が為されている((79896) ビルヘイリー (Billhaley) など)。また、別々の小惑星に命名提案された人名を結合するケースなども見られる。 近年では、ほぼ同じ大きさの二重小惑星に命名する際に、それぞれの天体に付けた名前をハイフンで結合して小惑星名とするケースが見られる。例としては、(79360)Sila-Nunam(en)、(341520)Mors-Somnus(en)がある。 基本的には、一度命名した小惑星名は変更できないことになっているが、何らかの問題が生じた際には例外的に変更された例がいくつかある。 →詳細は「小惑星番号 § 例外」を参照
また、申請の際に名前の綴りが変更されることがある。 表記小惑星名を日本語で表記する方法は、メディア等によってまちまちである。片仮名もしくはアルファベットで表記する場合もあり、日本や中華人民共和国など、漢字文化圏に因んで命名された小惑星に関しては、漢字表記する場合もある。 命名の歴史当初は他の惑星と同じように、小惑星に対してもローマ神話の神の名が与えられていた。やがて小惑星が多数見つかるようになると、他の神話の神や文学作品の登場人物、あるいは実在した人物や地名なども用いられるようになった。なお、初期に見つかった小惑星に女神の名が付けられたことから、男性の名前でも女性化して命名されていた。例としては (511) ダビダ(デイヴィッド・トッド (David Tod) →Davida)などがある。そして、1896年に最初の地球軌道に接近する小惑星、1906年に最初のトロヤ群小惑星が発見されると、それらのように特異な軌道を持つ小惑星には男性名(神または英雄など)が付けられることになった(上記の2個はそれぞれ (433) エロス、(588) アキレスと命名された)。その後、小惑星の数が更に増加するにつれて名前の数が足りなくなる恐れが出てきたため、比較的自由な命名が許されるようになった。 第二次世界大戦後、アメリカ合衆国内に小惑星センターが設立され、小惑星および彗星の観測記録や番号登録、命名などを小惑星回報 (MPCs) として公表するようになり(戦前はベルリンに同様の業務を行う機関があったが、詳細は不明)、後に電子化 (MPECs) されている。しかし、すでに発見された小惑星との軌道の同定に手間取ることが多く、加えて20世紀末に小惑星の発見数が急増すると、提案された名前を審査するのが追いつかなくなり、固有名を付けるのをやめようという意見まで出るに至った。2003年、国際天文学連合総会第20委員会において、発見者1人当たり1ヶ月に1個以上の命名提案を控えるよう求めることが決定された。ただしそれは絶対ではなく、適切な理由があれば複数同時提案も認められる。例えば2012年には、東日本大震災で大きな被害を受けた地域に由来する小惑星の命名が、同一発見者の小惑星12個に対して同時にされたことがある[注 6]。その一方、小惑星番号が付いてから10年以内に名前を提案しないと、命名権を放棄したと見なされるという「10年ルール」も存在する。こうしたことから、発見数に比して命名された小惑星の割合はあまり多くない。 MPCsによって名前とその由来が公表されるようになったのは、小惑星番号にして概ね1500番台以降である。1998年末以降に命名された小惑星(3000番台から9000番台の一部と、10000番台以降のすべて)については、ジェット推進研究所の小天体データベースにほぼ例外なくMPECsの命名文が収録されている。Lutz D. Schmadel の“Dictionary of Minor Planet Names”(2006年に第5版、2008年にその補遺が発行された)には、それまでに命名されたすべての小惑星が掲載されているが、MPCs以前に命名されたものについては由来が不明な場合もある。 分類固有軌道要素による分類軌道長半径や離心率、軌道傾斜角など、類似した固有軌道要素を持つ小惑星の集団を「族」(family)と呼ぶ。 これらのグループは同一の母天体(原始惑星)が分裂して母天体に近い軌道を回り続けているものや、木星などの引力の影響で一定範囲の軌道に集まったものと考えられており、基本的には前者を「family」と呼ぶ。 「family」を最初に発見したのは日本の平山清次であり、21世紀初頭までにメインベルトで数十の「family」が発見されている。外縁天体については、2007年に2003 EL61(後のハウメア)を含む「family」が存在する可能性が報告された。
メインベルト以外の小惑星は特異小惑星と呼ばれる。
太陽系外縁天体も、いくつかのグループに分かれている。
他にも多くの族・群がある (Asteroid groups and families)。 スペクトルによる分類→詳細は「小惑星のスペクトル分類」を参照
小惑星は色、アルベド(反射能)、スペクトルによって大きく3種類に分類される。
上記3つのサブグループに相当する型や、それら以外のマイナーな型も存在する。 その他の分類探査の歴史惑星形成論の研究や、将来的な資源利用への布石として、小惑星探査が進められている。 望遠鏡でも点状にしか見えないため、1990年代に入るまで、小惑星の研究は軌道の確定や光度の測定に留まり、その姿については想像の域を出なかった。しかし、恒星食による形状の推定、ハッブル宇宙望遠鏡などの高性能の望遠鏡による観察やレーダー測定により、大きさや形状など、その姿が徐々に明らかになってきた。 そして、1989年に打ち上げられた木星探査機ガリレオにより、1991年に (951) ガスプラ、1993年に (243) イダの映像が撮影され、人類は初めて小惑星の鮮明な映像を目にした。なお、ガリレオはイダに初めて衛星を発見し、ダクティルと名づけられた。その後も、主に地上での観測により170個以上(2010年現在)の小惑星に衛星の存在が確認されている(小惑星の衛星参照)。 1996年に打ち上げられたNEARシューメーカーは、1997年に (253) マティルド、2000年に (433) エロスの映像を撮影し、探査機はエロスの周回軌道に乗った後に着陸を果たした。 2003年に打ち上げられた日本の探査機はやぶさは、2005年に (25143) イトカワへ到達、至近距離からの詳細な観測を行った。はやぶさはイトカワに、計画通りではなかったが接地し、その後離脱した。サンプル採取については、操作ミスにより、送られた命令列中に弾丸発射命令が存在していなかったため、サンプルホーンの接触により微粒子状の対象が舞い上がったものが回収されていることを期待する、とした(幸い、そのようにして回収されたものとほぼ断定できるサンプルが、実際に確認された)。2010年6月13日に地球へ帰還し、サンプル容器を納めたカプセルが回収されて容器内の微粒子の回収と分析がおこなわれ、同年11月16日には、回収された微粒子のほとんど全てがイトカワ由来であることが発表された[4]。これは世界初の小惑星からのサンプルリターンである。 2004年に打ち上げられたロゼッタは、2008年に (2867) シュテインス、2010年に (21) ルテティアへの接近観測を行った。 2007年に打ち上げられたドーンは、2011年に (4) ベスタの周回軌道に乗って観測を行い、2012年にベスタの軌道を離脱した。2015年には (1) ケレス周回軌道に到達し、2018年まで近接探査を行った。 2014年12月には「はやぶさ」の後継機となるはやぶさ2が打ち上げられた。2018年6月に探査目標であるリュウグウに到着、2018年9–10月に探査機器を表面に下ろしたほか、2019年2月には第1回タッチダウン、2019年7月には第2回のタッチダウンを実施、サンプル採取を試みた。この間2019年4月には、天体に衝突体をぶつけてクレーターを生成する爆破探査も実施した。2019年11月にリュウグウを離脱、2020年12月に地球に帰還カプセルを戻した。帰還カプセルの中には小惑星由来と考えられる物質が大量に入っていた。2021年7月現在、詳細な分析が開始されている。なお、本体は別の小惑星への探査を実施する予定であり、2031年7月に1998 KY36という小惑星に到達することを目指している。 2016年にはアメリカの小惑星探査機オシリス・レックス(オサイレス・レックス、オサイリス・レックスとも)が打ち上げられた。目標とする小惑星はベンヌで、2018年12月に到着、2020年10月にサンプル採取を実施し成功した。2021年4月に小惑星を離脱、2023年9月に地球へ帰還。2029年にアポフィスが地球に接近するタイミングに合わせて、周回軌道に入り、探査を行う予定。 2021年10月、ルーシー打ち上げ。史上初の木星トロヤ群小惑星探査を含む、8個の小惑星を探査する予定。2023年11月にはディンキネシュにフライバイ。この接近時に衛星を発見した。探査機による小惑星の衛星発見は、ガリレオに次いで2番目。 2021年11月には、DARTが打ち上げ。地球近傍天体に衝突し、その軌道を変える実験を行った。2022年9月にディディモスの衛星、ディモルフォスに衝突し、軌道の変更に成功した。 2023年10月、サイキの打ち上げが成功。史上初めての金属質小惑星(X型小惑星)の探査を行う予定。2029年8月にプシケに到着し、2年ほど探査を行う予定。 その他にも、彗星探査機などにより比較的遠距離からの、もしくは不鮮明な小惑星の映像がいくつか撮影されている。 2024年現在、マルコ・ポーロなどの小惑星探査計画が検討中である。さらにドン・キホーテという計画では、小惑星にインパクターを衝突させる構想である。 アメリカではコンステレーション計画の中止後、2010年4月にオバマ大統領の発表した新宇宙政策[5]の中で有人小惑星探査「小惑星イニシアチブ」が検討されたが、2017年になり中止となっている。 これまでに行われた近接探査
今後行われる近接探査
計画が存在する近接探査
実現しなかった近接探査中止または他の目標に変更されたもの
地球への危険衝突の可能性→詳細は「隕石衝突」を参照
地球の上空には小惑星などの多数の天体が通過している[6]。これらの中には地球に接近し大気圏で燃え尽きることなく落下するものもあり、2013年のチェリャビンスク州の隕石落下では多くのけが人を出した[6]。2018年12月18日には直径約10mの小惑星がベーリング海上空およそ26.5km(成層圏)で爆発したが、そのエネルギーは1945年に広島に投下された原子爆弾のエネルギーの約10倍といわれている[7]。 地球にとって特に危険性が高く深刻な影響を与える天体は直径が150mを超える天体とされている[6]。 ユカタン半島にあるチュクシュルーブ・クレーターの調査から、約6550万年前に秒速10–20kmの速度で衝突した直径10kmの小惑星は、大型の恐竜を全滅させたと考えられている。クレーターは直径150 km、深さ30 km。周辺はマグニチュード11規模の地震と大規模の火災が発生し、海に落ちたために生じた津波は高さ300mと推定される[8]。さらに、衝突で巻き上げられた塵が成層圏やその上の中間圏に及んで漂い、数ヶ月から数年間太陽光線を遮り、植物など光合成生物の死滅に端を発し生物全体の70%が滅んだと推測される[8]。 直径10km規模の小惑星衝突は1億年に1回程の頻度で起こると考えられる[8]。直径1kmの小惑星衝突でも地球規模の気候に変動を与えると考えられ、その頻度は100万年に1回程と推定される。これより小規模な衝突は影響こそ限定的になるが、その反面頻度は上昇する。直径1.2kmのバリンジャー・クレーターを作った隕石は直径50m規模であったが、頻度は1000年に1回程あると考えられる[9]。 小惑星の監視地球の公転軌道より1.3天文単位以内を通過する公転周期200年未満の小惑星はNEA(Near Earth Asteroid, 地球近傍小惑星)といい、2012年11月1日現在で9252個が確認されている[10]。その中でも、地球に0.05天文単位(約750万km)以下に近づく公転軌道を通り、直径が150m以上と考えられる小惑星はPHA(Potentially Hazardous Asteroid, 潜在的に危険な小惑星)と呼ばれ、1343個が該当する[10]。しかもNEAは惑星重力の影響を受けやすいため、公転軌道は急に変化して予測どおりにならない可能性が高い[10]。 NEAと、やはり衝突が懸念される彗星(Near Earth Comet, NEC)と合わたNEO(Near Earth Object, 地球近傍天体)[10]を監視する計画は、NASAとアメリカ空軍、マサチューセッツ工科大学の共同によるLINEAR(Lincoln Near Earth Asteriod Research)、アリゾナ大学のSpace WatchとCatarina Sky Survey、NASAジェット推進研究所のNEAT(Near-Earth Asteroid Tracking)、ローウェル天文台のLONEOS(Lowell Observatory Near-Earth-Object Search)、ハワイ大学のPan-STARRAS(Panoramic Survey Telescope And Rapid Response Syastem)などがあり、日本でも美星スペースガードセンターが観測を行っている[11]。このように多くの観測体制が敷かれる理由は、そもそもNEOが非常に観測しにくいことが背景にある。しかも現在、昼間に観測することは事実上不可能である[11]。 衝突回避の技術研究小惑星の衝突に備えて小惑星を破壊したり進路を変えさせたりする研究も進められている[12]。 しかし、小惑星の衝突を回避する技術は現在の科学技術では達成しておらず、現存するロケットを衝突させて軌道を変える方法でも、直径100m以下の小惑星でしか効果がないと考えられている[11]。NASAのDARTやESAの「ドン・キホーテ計画」など有効な回避法がさまざまに模索されているが、いまだ研究段階にあり効果はわかっていない[11]。 脚注注釈
出典
参考文献関連項目外部リンク
|