WIRED (雑誌)WIRED(ワイアード)は、アメリカ合衆国発の月刊誌。未来をプロトタイプするテックカルチャー・メディアとしてアメリカ合衆国西海岸のサンフランシスコで1993年に創刊された。 現在はコンデナスト・パブリケーションズ社によりアメリカのほかに日本、イギリス、イタリア、中東、韓国の計6カ国/地域で発行され、テクノロジー、ビジネス、カルチャー、ライフスタイルなど幅広い分野でオンラインメディア、雑誌、SNS、イヴェントやコンサルティング事業などを展開している。 『WIRED』アメリカ版
1993年1月創刊。創刊の辞において、『WIRED』は単なるテクノロジーについての雑誌ではなく、デジタル革命を人類が火を扱えるようになったときに匹敵するほどの社会変化だととらえ、そこにmeaning(意味)とcontext(文脈)を与えていくことを「究極のラグジュアリー」だと宣言した。その後、その時々の社会変化に応じて、ロングテールやクラウドソーシングといった時代を象徴するキーワードを提唱してきた実績がある。 1993年といえば、AppleがちょうどPowerBookを発売したばかりのころで、NCSA Mosaicが発表されワールド・ワイド・ウェブ(WWW)が一般に普及しようとしていたころだった。『WIRED』の創刊を目指していたジェーン・メトカーフとルイス・ロゼットは、1993年にアメリカのカリフォルニア州で開催されたTEDカンファレンスに参加した。そこで2人はMITメディアラボの創設者ニコラス・ネグロポンテと出会い、資金提供を受けることができた。ネグロポンテは創刊後6年間レギュラーコラムニストとしても参加した。初代のエグゼクティブ・エディター、ケヴィン・ケリーはもともとホール・アース・カタログやホール・アース・レヴューの編集者だった。そのため、ブルース・スターリングやスチュアート・ブランドなど、その頃の関係者が『WIRED』にも多く関わっていた[1]。 3D Robotics社のクリス・アンダーソン(TED Conferenceのクリス・アンダーソンとは同姓同名の別人)は、2001年6月から2012年11月まで編集長を務めていた[2]。 『WIRED』日本版
創刊:第1期『WIRED』日本版は1994年11月21日に同朋舎出版から創刊された。編集長は小林弘人(通称:こばへん)。1998年11月号、通算45号で休刊。ウェブサイト「HotWired Japan」[3]は、2006年3月31日にコンテンツの更新停止を発表。2007年5月からはWIRED VISIONが翻訳を行っていた。 復刊:第2期2011年6月10日、コンデナスト・ジャパンより『GQ JAPAN』の特別増刊号として改めてVOL.1が発売され、同時に新たなウェブサイト「WIRED.jp」が立ち上がった[4]。VOL.1は第2回雑誌大賞にて「雑誌新人賞」を受賞[5]。2012年1月、編集長が長崎義紹から若林恵へと替わり、VOL.3より年4回発行となる[6]。2015年3月より隔月刊化。2017年12月に若林恵の退任が発表され、VOL.30を最後に雑誌版が再び休刊となった[7](WIRED.jpは継続)。 2013年より次世代クリエイターのためのアワード「CREATIVE HACK AWARD」を主催。これまで映像作家の山田智和(第1回グランプリ)やメディアアーティストの落合陽一(第3回グランプリ)、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也(第6回特別賞)らが受賞している。 2016年には赤坂アークヒルズにて森ビルとライゾマティクスとの共同運用となる[8]イヴェントスペース「WIRED Lab」を展開。また、「未来を体感する」ビジネスツアー「WIRED REAL WORLD」をスタート。さらに、独創的なアイデアとヴィジョンを持って新たな革新に挑み続けるイノヴェイターを顕彰する「WIRED Audi INNOVATION AWARD」を開催。 リブート(再起動):第3期2018年6月1日、編集長に松島倫明が就任[9]。前職であるNHK出版の書籍編集者時代に『WIRED』US版編集長(当時)クリス・アンダーソンの著書『フリー』(2009年)の邦訳を手がけた際、日本版が休止中だったが、初代編集長の小林弘人に監修・日本語版解説[10]を依頼している。またアンダーソンの次作『MAKERS』(2012年)刊行時には当時の日本版編集部とともにアンダーソンの来日とWIREDカンファレンス出演[11]を企画。US版創刊エグゼクティヴ・エディターのケヴィン・ケリーの著書『〈インターネット〉の次に来るもの』(2016年)の邦訳刊行時にも日本版編集部とともに来日ツアー[12]を行なうなど第1期、第2期『WIRED』日本版と元々関わりが深かった。2018年11月にリブート号となるVOL.31特集「NEW ECONOMY ぼくらは地球をこうアップデートする」を、US版創刊25周年を記念した特大号として発売[13]。2019年より年4回発行となる。 編集長就任時に「実装するメディア」を掲げ[14]、クリエイティヴディレクターのポジションを新設してPARTYの伊藤直樹を迎える[15]。併せてPARTYとも縁のある鎌倉のコレクティヴオフィス北条SANCIに編集部鎌倉分室を構える[16]。 2019年7月より「WIRED JAPAN Podcast」を始動する[17]。 2019年10月より有料会員制度である「SZメンバーシップ」をスタート[18]。SZは「スペキュラティヴ・ゾーン」の略。会員限定のコンテンツやニュースレター、イベントなどを提供する。 2020年6月よりPARTYと共同で「WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所」をスタート[19](所長は『WIRED』日本版副編集長 小谷知也)。SF作家のもつ大胆かつ精緻な想像力を用いて産業や企業の未来を想像し、バックキャスティングのアプローチにより、その実装/事業開発まで一気通貫で支援していくプロジェクト。 バックナンバー
脚注
関連項目外部リンク
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