モスクワ (ロシア語 : Москва [mɐˈskva] ( 音声ファイル ) マスクヴァ )は、ロシア連邦 の首都 。連邦市 として市 単独で連邦を構成する83の連邦構成主体 のひとつとなっており、周囲を占めるモスクワ州 の州都でもある。ただし州とは区別され「モスクワ市(Москва )」となる。
人口約1,268万人の世界都市 である。漢字による当て字は莫斯科 。
地理
北緯55度45分、東経37度37分に位置する。市の中心をモスクワ川 が蛇行しながら流れる。市域面積 は2,511平方キロメートルに達する。植生的には北の針葉樹林 帯と南の混合樹林帯との接点に位置する。土壌はポドゾル が主で、肥沃ではない[ 1] 。
気候
ケッペンの気候区分 では亜寒帯湿潤気候 (Dfb)に属する。年間降水量は707ミリメートルで、6月から8月にかけての夏季にもっとも降水量が多くなるが、一方で5月から8月にかけては晴天も多くなり、日照時間ももっとも多くなる。冬季には降水量は少なくなるものの曇天が続き、日照時間は非常に少なくなる。近年の冬季は気候変動と都市化による影響で以前に比較して平均気温が上昇しており、1991年から2020年の現平年値 では、1961年から1990年の旧平年値より1月の平均気温で3.1度、2月が1.8度も上昇した。なお、1990年の1月の平均気温は-12.0度であったことを踏まえると5.8度も上昇している。しかしながら2000年代以降でも、2006年、2010年、2011年、2012年、2013年には強い寒波の影響を受け零下30度前後まで冷え込んだことがある。また、ヒートアイランド 現象により都市部と郊外では冬の冷え込みが大きく異なり、10度前後の差になることもある。夏季は比較的暑くなり、30度を超えることも珍しくない。
過去最高気温は2010年7月29日の38.2度、過去最低気温は1940年1月の−42.2度である。
モスクワの気象観測は中心部から10キロほど離れた郊外のオスタンキノ公園に隣接する全ロシア博覧センター (通称ВВЦ,VCC)で行われており、緑豊かな場所にある。
モスクワ (VVC ) 1991–2020年平均, 極値 1879年–現在の気候
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年
最高気温記録 °C (°F )
8.6 (47.5)
8.3 (46.9)
19.7 (67.5)
28.9 (84)
33.2 (91.8)
34.8 (94.6)
38.2 (100.8)
37.3 (99.1)
32.3 (90.1)
24.0 (75.2)
16.2 (61.2)
9.6 (49.3)
38.2 (100.8)
平均最高気温 °C (°F )
−3.9 (25)
−3 (27)
3.0 (37.4)
11.7 (53.1)
19.0 (66.2)
22.4 (72.3)
24.7 (76.5)
22.7 (72.9)
16.4 (61.5)
8.9 (48)
1.6 (34.9)
−2.3 (27.9)
10.1 (50.2)
日平均気温 °C (°F )
−6.2 (20.8)
−5.9 (21.4)
−0.7 (30.7)
6.9 (44.4)
13.6 (56.5)
17.3 (63.1)
19.7 (67.5)
17.6 (63.7)
11.9 (53.4)
5.8 (42.4)
−0.5 (31.1)
−4.4 (24.1)
6.3 (43.3)
平均最低気温 °C (°F )
−8.7 (16.3)
−8.8 (16.2)
−4.2 (24.4)
2.3 (36.1)
8.1 (46.6)
12.2 (54)
14.8 (58.6)
13.0 (55.4)
8.0 (46.4)
3.0 (37.4)
−2.4 (27.7)
−6.5 (20.3)
2.6 (36.7)
最低気温記録 °C (°F )
−42.2 (−44)
−38.2 (−36.8)
−32.4 (−26.3)
−21 (−6)
−7.5 (18.5)
−2.3 (27.9)
1.3 (34.3)
−1.2 (29.8)
−8.5 (16.7)
−20.3 (−4.5)
−32.8 (−27)
−38.8 (−37.8)
−42.2 (−44)
降水量 mm (inch)
53.2 (2.094)
44.0 (1.732)
38.9 (1.531)
36.6 (1.441)
61.3 (2.413)
77.8 (3.063)
84.1 (3.311)
78.3 (3.083)
66.2 (2.606)
70.1 (2.76)
52.0 (2.047)
51.0 (2.008)
713.5 (28.089)
平均降雨日数
1
1
3
10
15
16
15
16
16
14
7
2
116
平均降雪日数
19
16
9
1
0
0
0
0
0
2
10
18
75
% 湿度
85
81
74
68
67
72
74
78
82
83
86
86
78
出典:[ 2] [ 3] [ 4] [ 5]
モスクワ (VVC ) 1961–1990年平均の気候
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年
平均最高気温 °C (°F )
−6.3 (20.7)
−4.2 (24.4)
1.5 (34.7)
10.4 (50.7)
18.4 (65.1)
21.7 (71.1)
23.1 (73.6)
21.5 (70.7)
15.4 (59.7)
8.2 (46.8)
1.1 (34)
−3.5 (25.7)
8.9 (48)
日平均気温 °C (°F )
−9.3 (15.3)
−7.7 (18.1)
−2.2 (28)
5.8 (42.4)
13.1 (55.6)
16.6 (61.9)
18.2 (64.8)
16.4 (61.5)
11.1 (52)
5.1 (41.2)
−1.2 (29.8)
−6.1 (21)
5.0 (41)
平均最低気温 °C (°F )
−12.3 (9.9)
−11.1 (12)
−5.6 (21.9)
1.7 (35.1)
7.6 (45.7)
11.5 (52.7)
13.5 (56.3)
12.0 (53.6)
7.1 (44.8)
2.1 (35.8)
−3.3 (26.1)
−8.6 (16.5)
1.2 (34.2)
出典:[ 2] [ 4] [ 5] [ 6]
2010年 7月29日 、気温が38.2度に達した。130年前に開始された観測史上最高を記録。これまでの最高は1920年の36.8度である。
2010年 8月10日 、モスクワ市登録局は、7月のモスクワ市内の死亡者が1万4340人で、前年同月の死亡者9516人の1.5倍にあがったことを明らかにした。記録的な猛暑 や森林・泥炭火災のスモッグ による健康被害が影響していると見られている。ドイツ・オーストラリア・カナダなどがモスクワにある大使館の外交官や家族を一時退去させるなどの影響が出た。非常事態省は、同国では500か所以上で森林・泥炭火災が続き、火災面積は17万4000ヘクタールに拡大しているとしている。
人口
市域人口は1301万112人(2021年国勢調査)[ 7] 。2016年 の近郊を含む都市圏人口 は1657万であり、世界第15位[ 8] 。
民族別ではロシア人 90.2パーセント、タタール人 0.8パーセント、アルメニア人 0.7パーセントの順となっているが、これらには移民や不法滞在者は含まれておらず、おもに中央アジアから100万人を超える移民が在住しているとされる。
標準時
この地域は、モスクワ時間帯 の標準時 を使用している。時差はUTC+3 時間で、夏時間 はない。2011年3月までは標準時がUTC+3、夏時間がUTC+4 であったが、同年3月からは夏時間を標準時とする形で夏時間制が廃止された。2014年10月から通年UTC+3となった。
経済
新都心「モスクワ・シティ 」
2011年 のモスクワ市の予算規模は、世界中の都市の中でニューヨーク市に次いで第2位であった。ニューヨーク市の予算は人口818万人に対し659億9100万ドルで、モスクワ市の予算は人口1151万人に対し508億ドルであった[ 9] 。
2014年 のモスクワ都市圏の総生産は7944億ドルで、世界10位の経済規模であった[ 10] 。ヨーロッパではロンドン都市圏 、パリ都市圏 に次ぐ3位であった。
2016年 、アメリカの経済誌『フォーブス 』が公表した統計によると、10億ドル以上の個人資産をもつ大富豪 は60人で、ニューヨーク 、香港 に次いで3番目に多い都市となった[ 11] 。
歴史
聖ワシリイ大聖堂
1147年 にキエフ大公国 のユーリー・ドルゴルーキー (手長公)が会合を行った場所として言及されるのが最古の記録である。1156年 に砦が築かれて以降、徐々に小都市化していった。1237年から1238年にかけてはモンゴル帝国 軍[ 12] によって灰燼と帰した(モンゴル帝国によるロシア全土占領についてタタールのくびき を参照[ 13] )[ 14] [ 15] [ 16] 。
1271年 、ウラジーミル大公 アレクサンドル・ネフスキー の末子であるダニール・アレクサンドロヴィチ が遺領としてモスクワを獲得し、モスクワ公国が成立した。3代目モスクワ公のイヴァン1世 の代にジョチ・ウルス にとりいってルーシ諸公からの徴税権を得たことから力をつけ、モスクワ大公国 となった。
1382年 にはジョチ・ウルスのトクタミシュ・ハン によって占領されることなどはあったが、1480年 、イヴァン3世 がタタールのくびきを完全に終わらせることで、モスクワはロシア最大勢力の都となった。彼はウスペンスキー大聖堂 やブラゴヴェシチェンスキー大聖堂 やアルハンゲリスキー大聖堂 を建設・再建し、クレムリンを壮麗なものとした。クレムリンの前に赤の広場 が建設されたのもこの時代である。1534年 から1538年 にはクレムリン北東のキタイ・ゴロド をクレムリンと同じ城壁で囲み、以後この地域は商工業地域として発展した。
モスクワの歴史:赤色(クレムリン )、黄色(キタイ・ゴロド )、白色(白い町 )、茶色(土の町 )
1561年 にはイヴァン4世 によって聖ワシリイ大聖堂 が建設された。1590年ごろにはクレムリンとキタイ・ゴロド の外側に城壁が築かれ、さらにその外側には土塁が築かれ、モスクワの町は大幅に拡張された。新しい城壁の内側はベールイ・ゴロド(白い町)、土塁と城壁の間はゼムリャノイ・ゴロド(土の町)と呼ばれた[ 17] 。16世紀末には動乱時代 となり、1610年 には偽ドミトリー2世 を擁したポーランド・リトアニア共和国 軍がロシア・ポーランド戦争 を起こしてモスクワを占領したが、商人のクジマ・ミーニン と公爵ドミトリー・ポジャルスキーを中心として組織された国民軍が1612年 にモスクワを奪回し、翌1613年 にはミハイル・ロマノフ がツァーリ に選出されてロマノフ朝 が成立した。
フョードル・アレクセーエフの描いた赤の広場(1802年)
ロマノフ朝時代は国土の拡張にともないモスクワも成長を続けたが、ピョートル1世 が1712年 にロシア北西端のネヴァ川 河口にサンクトペテルブルク を建設したことで首都の座を譲った。しかしそれ以後も副首都の座を保ち続け、歴代のロシア皇帝はモスクワにて戴冠式を行うことを常とした。古い貴族階級は遷都以後もモスクワに居住する者が多く、西欧の思想を取り入れる窓口となったサンクトペテルブルクに対し、モスクワは古いスラヴ主義の思想の中心地となっていった。1755年 にはロシア最初の大学であるモスクワ大学 が開校した。このころ、ベールイ・ゴロドの城壁が撤去され、その跡地にプリヴァール環状道路が建設された。
1812年 にはナポレオン のモスクワ侵攻(祖国戦争 )を受け、街は灰燼に帰したが、その後すぐに復興された。19世紀にはゼムリャノイ・ゴロドの土塁も撤去され、その跡地はサドーヴォエ環状道路 となった。1851年 にはサンクトペテルブルクとの間に鉄道が開通し、その後も1862年 にはニージニー・ノヴゴロド、1864年 にはリャザン、1868年にはクルスク 、1870年 にはヤロスラヴリへの鉄道が相次いで開業し[ 18] 、ロシア中央部の商工業の中心としての地位は揺るぐことなく、農奴解放 による労働力の流入や軽工業の発展もあいまって、19世紀末には人口は100万人を突破した。
1918年 7月、対ソ干渉の名目で、ロシアはアメリカ軍 (アメリカ合衆国 )による軍事侵攻の被害を受け、モスクワ付近まで進軍され、アメリカ軍による攻撃の被害を受けた[ 19] 。
ソビエト によって1918年に首都機能が移転され、ソビエト連邦 とロシア・ソビエト連邦社会主義共和国 (現在のロシア連邦 )の首都となった。
第二次世界大戦 の大祖国戦争 時には市の北西40キロの地点にまでドイツ軍 (ナチス・ドイツ )が軍事侵攻したものの、軍民一丸となった抵抗により陥落しなかったが、100万人近い死者を発生させた[ 20] 。かつては冷戦 による対立関係があったアメリカ合衆国 のワシントンD.C. とともに、モスクワは超大国の首都として二分し、スターリン はニューヨーク の高層ビルに対抗意識を持ち、スターリン様式 という建物を多く建築した[ 21] 。
ソ連崩壊 後のロシア連邦においても引き続き首都であり、人口1000万を超えるロシアの政治経済の中心である。2002年には、 チェチェン共和国 の独立派のテロリスト が起こした人質事件 が、2011年にはドモジェドヴォ空港爆破事件 が発生した。
2021年、SARSコロナウイルス2 の感染が流行し、大量の死者を発生させた。ロシア政府はモスクワをロックダウン させることを決定した[ 22] [ 23] [ 24] 。
2022年に開始されたロシアによるウクライナ侵攻 中の2023年、ウクライナ軍 やロシアの反体制派(自由ロシア軍団 またはロシア義勇軍団 )からと思われるドローン攻撃が頻繁に行われている[ 25] [ 26] [ 27] 。
また、2月にはウクライナ軍がモスクワにミサイル攻撃を行う予定だったものの、アメリカ合衆国のホワイトハウス から自粛するように圧力を掛けたとの報道があったものの[ 28] [ 29] 、5月にはクレムリン がドローン攻撃[ 30] [ 31] [ 32] に見回られた。6月にはロシアの民間軍事会社ワグネル・グループ が武装蜂起 (ワグネルの反乱 )を宣言し、ロシア南部を占領した後、モスクワに進軍させた[ 33] [ 34] 。市は正規軍とモスクワでの地上戦の恐れが予想されたため、外出禁止令を発令した[ 35] [ 36] 。
7月には高層ビル街のモスクワ・シティ などでも大きな爆発が発生した[ 37] [ 38] 。シェレメーチエヴォ国際空港 などの主要空港が一時閉鎖される事態にも陥った[ 39] [ 40] 。その後も、ウクライナ軍によるモスクワへのドローン攻撃が相次いでいる[ 41] [ 42] [ 43] [ 44] [ 45] 。
2024年にもロシア大統領選挙 期間中に、ウクライナ軍からと思われるドローンによる連続攻撃が発生した[ 46] [ 47] 。また、5日後にはイスラム国 による銃乱射による無差別殺人テロにより、大量の死者を発生 した[ 48] [ 49] [ 50] [ 51] 。以前からアメリカ合衆国連邦政府 は、モスクワへのテロ攻撃は既に把握しており、秘密裏にロシア政府と共有していたものの未然に防ぐことが出来なかった[ 52] [ 53] [ 54] 。同年8月、ウクライナによるロシア・クルスク州占領 中にモスクワに向けて複数人のドローン攻撃を受けたと発表した[ 55] [ 56] [ 57] 。
画像
街の特徴
赤の広場 はモスクワの中心
トヴェルスカヤ通り
モスクワは、中央にあるクレムリン から同心円状に広がっている町であり、クレムリンからはすべての方角に放射状に幹線道路が延びている。その幹線道路をつないでプリヴァール環状道路、サドーヴォエ環状道路 、モスクワ3号環状道路 、モスクワ4号環状道路、モスクワ環状道路 がある。サドーヴォエ環状道路は、1590年代のモスクワの土塁の跡に作られており[ 1] 、この内側が歴史的建物が集まる旧市街である。モスクワ地下鉄環状線がこの道路の下を走る。
クレムリンは1156年 にユーリー・ドルゴルーキーが砦を築いて以来一貫してモスクワの中心であり、モスクワ大公国時代からロシア帝国初期を通じて王宮が置かれていた。ソビエト連邦成立後はここに政府が置かれ、現在もロシア連邦の大統領府があるロシア政治の中枢である。クレムリンの正面には赤の広場 が広がり、広場周辺にはグム百貨店 や聖ワシリイ大聖堂 、レーニン廟 がある。広場の北東はキタイ・ゴロドと呼ばれ、モスクワ大公国時代からの商工業地域だったところで、現在では都心の一部となっている。その北にはかつてKGB の本部の置かれていたルビャンカ や、ボリショイ劇場 などがある。
クレムリンから北西に伸びるトヴェルスカヤ通り は、19世紀からの目抜き通りであり、現在でも繁華街となっている。トヴェルスカヤ通りはその先でレニングラード街道と名を変え、サンクトペテルブルクまで延びている。クレムリンから西へと伸びるアルバート通り は歩行者天国となっており、商店や土産物屋が立ち並んで観光客が多く訪れる。
クレムリンの南西には、モスクワ川に沿って救世主ハリストス大聖堂 やトレチャコフ美術館 がある。
政治
行政区分
2012年7月1日、ノヴォモスコーフスキー区とトロイツキー区に相当する地域を編入したため、一挙にモスクワ市域面積が約2.5倍になった。それ以降、モスクワ市は以下の12の行政区(Административные округа, АО )に分かれている。従来は1960年代に開通したモスクワ環状道路 がモスクワ市の境界線とほぼ一致していたが、現在は市域が当時の約3倍に拡大している。
中央区 (Центральный АО )
北区 (Северный АО )
北東区 (Северо-Восточный АО )
東区 (Восточный АО )
南東区 (Юго-Восточный АО )
南区 (Южный АО )
南西区 (Юго-Западный АО )
西区 (Западный АО )
北西区 (Северо-Западный АО )
ゼレノグラード区 (Зеленоградский АО )
ノヴォモスコーフスキー区 (Новомосковский АО )
トロイツキー区 (Троицкий АО )
また、この行政区はさらにラヨン (район )に分かれている(ロシア語ではライオンと発音される)。
市政
市議会の定数は35である。2009年10月12日の選挙では、統一ロシア が圧勝した。現ロシア成立後の1992年に就任したユーリ・ルシコフ 市長のもとでモスクワ市は積極的な経済開発を行い、行政府がインフラ整備や外資の誘致などを徹底して行うことで高い経済成長を記録した。さらに小企業の保護育成に市政府が積極的に取り組むことで失業問題を解決し、失業率 を全国平均の10分の1に押さえ込んだことから[ 58] 、市民の高い支持を得て18年間の長期政権を維持した。しかし、2008年のリーマン・ショック 後に経済が減速するとともに長期政権にともなう汚職や腐敗が取りざたされるようになり、2010年9月28日にドミートリー・メドヴェージェフ 大統領によって解任された[ 59] 。
歴代ソ連共産党市党委員会第一書記
歴代市長
交通
市内の主要な公共交通機関は地下鉄 をはじめ、バス 、トロリーバス 、路面電車 、タクシー 、乗合タクシー 、近郊電車 など。
鉄道
ベラルースキー駅
13の線路、方面別に9つのターミナル駅 がある。列車の行先の地名が駅名になっている。
エレクトリーチカ
エレクトリーチカ (近郊電車)はモスクワ市内と郊外を結ぶ路線で縦横無尽に走っており、インフラ設備はロシア鉄道 、運行は中央郊外旅客会社 となっている。モスクワ都市圏では近郊電車網の近代化を図っており、2019年11月にはモスクワ中央径線 (МЦД)の2路線が開通した。これはメトロには含まれていていないが路線図には掲載されており相互利用が可能である。今後数年間で5路線、総延長381kmの鉄道網となる予定である。
2016年には既存の軌道を整備して旅客化したモスクワ中央環状線 (МЦК)が開通したが、これはインフラ設備はロシア鉄道 、運営はモスクワ地下鉄となっており地下鉄のネットワークに含まれており14号線となっている。
地下鉄
環状線 キエフスカヤ駅
市内には地下鉄が15の路線網を張りめぐらしており、世界でもっとも利用客の多い地下鉄の一つとなっている。また、ヨシフ・スターリン 政権時代に建設された駅を中心として豪華絢爛な装飾が施されており、モスクワ市民の誇りとなっている。地下鉄路線の終点を起点とした高架線主体のライトメトロ(лёгкое метро )2路線(1路線は建設中)、およびモノレール 1路線がある。
路線や駅にもよるが、きわめて深い場所に作られた豪華な装飾の駅と、地上と駅を結ぶ長い超高速エスカレーターはモスクワ地下鉄の特徴である。
路面電車
郊外を中心に路面電車の路線網が張りめぐらされており、地下鉄の補完的役割を果たしている。
道路
モスクワ市内にはトゥヴェルスカヤ通り 、アルバート通り などの通りがある。市中心部から道路が放射状に伸びており、北西にはサンクトペテルブルク へと向かうレニングラード街道 (トゥヴェルスカヤ通り 、モスクワ~サンクトペトルブルク高速道路 は途中の一部のみが開通)、北東にはヤロスラヴリ 街道 、東にはニジニ・ノヴゴロド に向かうゴーリキー街道 、南東にはリャザン 街道 、南にはワルシャワ 街道 、南西にはキエフ 街道 (レーニンスキー大通り )やスモレンスク 街道 といった伝統的に行き先の名をとった道路は、現在はロシア連邦道路 M何号として整理されている幹線道路へつながっている。市内の環状道路 には内側からサドーヴォエ環状道路 、3号環状道路 (2004年完成)、4号環状道路 (建設中)、モスクワ環状自動車道路 、小環状道路、中央高速道路、大環状道路 などがある。
クレムリンに隣接する市中心部のマネージ広場 が「道路元標 」になっている。近年は自動車の普及により、市内での慢性的な渋滞や駐車スペース不足が大きな問題となっている。
空港
シェレメチェボ空港 ターミナルD
市内および市郊外に4つの空港 がある。国際線が発着するのは市の北にあるシェレメーチエヴォ国際空港 (I,II)と市の南にあるドモジェドヴォ空港 と、カフカス 方面のヴヌーコヴォ国際空港 の3つである。ほかにも国内線用のビコヴォ空港 があったが、2010年に旅客の取扱を終了した。また、近年はラメンスコエ空港 を第4の空港と位置づけており、2016年に旅客ターミナルが竣工した。
旧ソ連時代はシェレメーチエヴォ国際空港におもに国際線が発着し、旧ソ連国内線はおもにドモジェドヴォ空港に発着していた。ソ連崩壊後、この区別が消滅し、特に2000年 以降老朽化の進むシェレメーチエヴォ国際空港に代わって、設備の整ったドモジェドヴォ空港に諸外国の航空会社が相次いで乗り入れ先を変更した。シェレメーチエヴォ国際空港はロシアのフラッグキャリア であるアエロフロート・ロシア航空 がハブ空港 としているが、アクセスや設備の面で悪評が高かった。しかし、2007年から2010年にかけて鉄道アクセスの整備や新ターミナルが完成した。日本航空 も羽田空港 から直行便を運航していたが、ウクライナへの軍事侵攻による運休中である。
水運
ヒムキ の貯水地を航行する河川用ボートクニャージナ・オリガ (ロシア語版 ) (オリガ公爵夫人)
モスクワ川 には「川の南駅」、モスクワ運河 (モスクワ川~ヴォルガ川 )には「川の北駅」があり、冬季以外の水運 も盛んである。モスクワ川が市内を蛇行する部分では遊覧船 の運行も行われている。モスクワ川、ヴォルガ川などを伝い白海 、バルト海 、カスピ海 、アゾフ海 、黒海 と行き来できるため「五海洋への港町(портом пяти морей )」と呼ばれる。
教育
創立当時のモスクワ国立大学
モスクワ音楽院
大学
研究所
スポーツ
サッカー
その他の競技
国際大会
観光
モスクワには赤の広場、クレムリン、美術館劇場からモスクワ川クルーズ、サーカス、動物園まで、あらゆる世代の人々の観光ができる。
世界遺産
教会
美術館
その他の建造物
ギャラリー
ジンクス
ソ連発足以来、政治・経済・文化の中心であるはずのモスクワの出身者は最高指導者になれないというジンクス が存在する。
実際に、
となっている。
おもな姉妹都市
→「
ロシア語 :
Города-побратимы Москвы 」も参照
モスクワが舞台の作品
著名な出身者
脚注
出典
^ a b 「朝倉世界地理講座 大地と人間の物語10 東ヨーロッパ・ロシア」p255 朝倉書店 2007年1月25日初版1刷
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関連項目
外部リンク
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