びわ湖毎日マラソン
びわ湖毎日マラソン大会(びわこまいにちマラソンたいかい)は、日本陸上競技連盟が主催していたワールドアスレティックス(国際陸連)ゴールドラベルの男子マラソン大会で、国際大会の代表選手選考会も兼ねていた。毎年春に滋賀県で開催されていた。国際マラソン・ディスタンスレース協会(AIMS)認定コース。2021年大会を最後に単独大会としての開催が終了し、2022年は大阪マラソンとの統合大会として開催された(回数は通算したものも使用されている[1])が、2023年以降は名義上大阪マラソンの単独大会となるため、終了となった。 概要単独開催終了時点では、大津市皇子山陸上競技場を発着点とする42.195kmのコースであった。コースについては過去に何度か変更されている。2010年にもコースが一部変更され、折り返し地点が従来の草津市新浜から大津市大萱に変更となった。30km地点手前の大津市平津付近を除けば高低差があまりないため「高速コース」と言われたが、終盤には比良山系からの向かい風がランナーを苦しめた。 ![]() 東京マラソンと同様に、この大会でも滋賀(特に大津市)の名所を通り、浜大津(大津港)や、国宝・石山寺、日本三名橋の一つ瀬田の唐橋などが、その代表的な場所となった。 オリンピック・世界陸上競技選手権大会・アジア競技大会の男子代表を選ぶための最終選考会となっていた。本大会と福岡国際マラソン、東京マラソンの3大会で3年おきに持ち回りで男子マラソンの日本選手権を兼ねて行われていた[2]。また開催時期が3月であり、箱根駅伝などの大学駅伝シーズンも終わり、比較的長い期間マラソン練習が積めるために、有力な学生ランナーにとっては、在学時に最も出場しやすい大会とされた。過去には日本大学の川島義明、中京大学の中尾隆行、近年では山梨学院大学の中村祐二が優勝を果たし、中央大学の藤原正和が初マラソン日本人最高記録および学生最高記録更新の快挙を達成している。 2018年・2019年(2017年度・2018年度)の大会は、2020年東京五輪のマラソン日本代表候補を決める「マラソングランドチャンピオンシップ」(通称:MGC)シリーズの対象レースに指定された[3]。 この大会の模様は、コース上にあるNHK大津放送局に放送センターを置き、大津局を管轄するNHK大阪放送局からテレビとラジオで全国中継していた。総合テレビのアナログ放送とNHKワールド・プレミアムではスポーツ中継としては珍しく16:9の画面サイズで放送していたが、2008年 - 2010年の大会の中継は他のNHKのロードレース中継と同じく14:9の画面サイズで放送した。2011年大会から再び16:9の画面サイズで放送している(アナログ放送はこの大会の放送が最後となるが、NHKワールド・プレミアムでは完全デジタル化後も本大会に限らず、以降に放送されるすべてのマラソン・駅伝大会も16:9レターボックス放送は継続)。ただし、2019年と2020年大会は編成の都合(2019年は『NHKのど自慢』特別編放送、2020年は9時 - 10時が『日曜討論』放送優先のため)や、主催者の都合などでEテレとFMで放送された。 同じ毎日新聞社などが主催する別府大分毎日マラソンや、同じ日本選手権と兼ねて行われていたこともある福岡国際マラソンとは異なり、NHKから民放に放映権(放送権)を移したり、一本化してテレビ・ラジオ中継を行ったことはない。
参加資格
参加料は一人5000円である。 大会の歴史1946年に第1回が行われたことから、終了以前は「(現在開催されている中では)日本最古のマラソン大会」ともいわれた。
1981年頃から1993年頃までは新人の登竜門的な大会で、オリンピックや世界選手権などの選考レースに格付けされていても一線級の参加があまり見られなかったが、1988年の第43回では前年12月の福岡国際マラソンを怪我のため欠場していた瀬古利彦が出場して注目を集めた。瀬古は優勝し同年のソウル五輪の出場権を獲得したことで物議を醸した[注 5]。 1997年(第52回)、前年のアトランタ五輪で4位に入ったマルティン・フィスが参加し、当時の国内マラソン最高記録で優勝したことで状況が変わり、フラットで好記録が出るコースということで、国内の一線級も参加するようになった。 大きな国際大会の前哨戦や大会運営の予行演習として、会場が変更されたことがあった。
1985年から2004年は、スタート前にトラックでびわ湖全日本女子競歩大会が開催されていた。 大会の開催時期は、第1回が10月に開催されたのち、第2回から24回(1969年)までは5月がメインで、時に4月(第19回・1964年、第23回・1968年)や6月(第16回・1961年、第21回・1966年)にも開催されていた。第25回(1970年)が4月に開催されてからは5月・6月の開催はなくなり、第26回(1971年) - 28回(1973年)が3月、第29回(1974年) - 第34回(1979年)が4月と変遷して、第35回(1980年)以降は3月開催で定着した。第62回(2007年)は、レースの途中で気温が20度以上に上昇し、春先とは思えない過酷なコンディションに見舞われた。日本の招待選手10人が暑さに対応しきれず惨敗した。単独での最終開催となった第76回(2021年)は大会史上初めて2月開催となった。 2008年、国際陸上競技連盟は、マラソンなどの世界のロードレースを格付けする制度を導入した。びわ湖毎日マラソンは、2009年、国内で初めて最高位の「ゴールド」にランクされた。2010年もこの年に初めてランク入りした東京マラソンともに2年連続「ゴールド」にランクされている。 2021年の第76回大会で大津市での開催を終え、2022年に大阪マラソンと統合し「第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会(仮称)」として行われることが決定した[11]。2022年2月27日(第4日曜日)に第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会が統合後初開催された[12]。2023年は2月26日に「第11回大阪マラソン」として開催されるため[13]、「びわ湖毎日マラソン」は名実ともに終了となった。なお、毎日新聞社は大阪マラソンの共催に加わり、NHKによる中継も引き続き行われている。 2023年より、当大会の後継イベントとして市民マラソンの「びわ湖マラソン」を開催することになり[14]、同年3月12日に第1回大会が開催された。同大会は大阪マラソン共催のひとつでもある読売新聞社が後援している。スタートは同じ皇子山陸上競技場であるが、大津市、草津市、守山市の3市にまたがり、3度折り返した後、烏丸半島をフィニッシュとするコースに変更された。 歴代優勝者※第77回(統合後)は大阪マラソンを参照。 滋賀県開催における(当時の)大会記録
参考文献毎日新聞社(編)『びわ湖毎日マラソン大会60年史』びわ湖毎日マラソン大会実行委員会、2006年 脚注出典
注略
外部リンク |