フィールドホッケー
フィールドホッケー(英:Field hockey)は、スティックと硬球を使い2チームが相手ゴールに向けて互いにそのボールを打ち込もうと競い合うスポーツ。また、小中学生を中心に6人制ホッケーも広まっている。 概要先端の曲がったスティックと硬球を使い、競技フィールドで11人ずつの2チームが相手のゴールに向けて互いにそのボールを打ち込もうと競い合うゲーム。 オリンピック男子競技と女子競技が行われており、男子は1908年ロンドンオリンピックから、女子は1980年モスクワオリンピックからオリンピックの正式競技となった。 ホッケー男子日本代表は1932年ロサンゼルスオリンピックで銀メダル[1]。戦後では1960年ローマオリンピックに初めて出場した。 2004年アテネオリンピックで、ホッケー女子日本代表がオリンピック初出場を果たした。 歴史ホッケーの起源は、古代エジプト(紀元前2000年)にあると言われている。ナイル川流域で発見された壁画に、ホッケーをする人々の絵が描かれている。 近代ホッケーの起源は、他の多くのスポーツと同様にイギリスにある。19世紀ごろ、オフシーズンのクリケット選手たちが、試合のできない冬に始めたのが起源と言われている。イギリスにて「ホッケー協会」が組織され、ルール制定されたのが1887年である。そして、1908年にオリンピック競技に認定された。 日本への伝来は、1906年にアイルランドの牧師であるT・グレーが慶應義塾大学に伝えたことによる。1937年に日本ホッケー協会が組織され、同年より全日本ホッケー選手権大会が始まった。 ルール![]() ![]()
用具
主な反則
備考
技術ドリブル![]() 自分でボールを保持したまま前に進む技術。相手をドリブルで抜き去れば数的有利を作れ、一気に味方のチャンスになる。しかしスティックの片面でしかボールを扱えないので、正確なドリブルをするには高度な技術が要求される。 ホッケーはサッカーなどに比べてファールが多いスポーツである。その特徴を生かして、ドリブルの際も相手を抜きにかかるのではなく、意図的にファールを取りに行くことも多い(ボールを相手の足に当ててキックの反則を取るなど)。相手のファールをもらうのは相手を抜き去ることよりも簡単に出来るので、相手をドリブルで抜くのが厳しいと思ったら堅実にファールをとって味方ボールをキープするようなプレーも求められる。
ボールをスティックに付けたまま体の右側で保持し、前に進むドリブル。最も基本的でスピードを出しやすい。複雑なボールコントロールを伴わないのでミスが少なく、手元に集中しなくてもよいので周りを見ながらドリブルできる。
ボールを体の左右交互に動かしながら進むドリブル。フェイントをかけたり、相手ディフェンスをかわすときに使う。フォアドリブルに比べスピードは出にくい。習得するにはある程度技術が必要。
体の左側から右側にボールを大きく動かし、相手の右側(自分から見て)を抜き去ることを右抜きという。左抜きはその反対。ボールをできるだけ正確に、幅広く、速く動かすのがコツ。相手をかわしたらすぐに前に出るスピードも重要。抜く前に、視線やスティックの動きでフェイントをかけると成功しやすい。
相手がタックルやブロック(地面にスティックを下ろしてボールを奪うディフェンス)をしかけてきたときに、ボールを浮かして相手のスティックの上をかわし、相手を抜き去る技術。相手の足に向けてピックアップし、キックの反則を狙うこともできる。スティックを地面とボールの間に差し込むようにしてボールを浮かす。浮かしすぎるとデンジャラスプレーの反則を取られる。
ピックアップと同じような目的で用いるが、チョップの場合はスティックでボールを斜め上から叩きつけ、その反作用を利用して浮かす。人工芝で有効な技術。
ドリブル中に体を反転させ、ドリブル進行方向から後ろに切り返す技術。そのまま前にドリブルで進むのは難しいと判断したときに使う。ターンしたあとは後ろに向き直ってバックパスや横パスを出すことが多い。
自分のスティックで、ボールを奪いに来る相手のスティックをブロックすること。ボールがとまった状態でガードをするとボールを保持している側がオブストラクションの反則を取られるが、ボールを前に動かしながらのガードは黙認されている(オブストラクションを厳格に解釈するとドリブル側の反則になると思われるが)。ドリブルでボールをキープするために重要な技術の一つ。 レシーブ (トラップ)自分のところへ転がってきたボールをスティックで止めること。弾んで来たボールはスティックを立てると止めやすい。 ストロークスティックでボールを打ったり押したりして転がすこと。パス、シュート、クリアのために使われる。
ゴルフのように両手をくっつけてスティックを握り、ボールを打つ打ち方。最も強いボールを出せる。モーションも比較的小さく、短い時間で打てる。ただし安定してミートさせるにはある一定の技術が必要であり、初心者はもちろん中級者でもしばしば空振りしたり、ダフったりしてしまうことがある。コントロールも比較的つけにくく、ボールが浮いてデンジャラスプレーの反則を取られることも多い。とにかく強いボールを打てるので、ロングパスやセンタリング、クリア、距離のあるシュートなどに使う。サッカーで言うインステップキックに近い使われ方である。
スティックを握った手を地面すれすれまで下げてスティックを地面と平行にし、地面を掃くようにしてボールを打つ打ち方。比較的強いボールを出せ、コントロールもつけやすく、ミスも少ない。ただしモーションが大きいため相手が近くにいるときには使い辛い。ディフェンスラインでのボール回し(展開)や、ディフェンダーから前線へのロングパスなどに適している。
両手を離してスティックを握り、スティックヘッドをボールに付けたままボールを押すようにして出す打ち方。モーションが小さく、正確なボールを出せる。しかしヒットやスイープに比べてボールのスピードは出ない。ボールを少し浮かして相手のスティックの上を通すこともある。ショートパスや、短い距離からのシュートなどに用いる。サッカーで言うインサイドキックに近い使われ方である。
ボールをすくい上げて、相手プレーヤーの頭上の空中へとボールを飛ばす打ち方。ホッケーにはデンジャラスプレーの反則があるので、膝より上にボールを浮かすことは基本的に反則になるが、その例外の一つがこのスクープである。スクープは相手の頭上へとボールを飛ばすため、相手のプレーヤーはそのボールが落下してくるまでは絶対カットできない(頭上のボールをスティックで止めるのはハイスティックの反則)。従って、自陣から敵陣へと確実にボールを前へ運びたいときに非常に有効な技術である。ビハインドフリーヒットや自陣低い位置でのラインセットのときに特によく使われる。 スクープはボールの上がり方が不十分だったり、相手プレーヤーが近くにいるときに使うとデンジャラスプレーの反則を取られる。またスクープでボールを飛ばしても、ボールの飛距離が不十分だと陣地を稼げず意味をなさない。そのため実戦で使うには、安定して30~40ヤード以上飛ばす技術が必要である。
専らペナルティーコーナー時のシュートとして使う打ち方で、ボールを地面で引きずった後浮かして飛ばす。プッシュの発展版といえる。ペナルティーコーナーでは、ヒットシュートを浮かすと反則になる。一方でフリックシュートは浮かしてもよいので、ゴール上部を直接狙うことが出来る。フリックはヒットに比べてスピードは出にくいが、狙えるゴールの面積が広いのでペナルティーコーナーのときに重宝する。優秀なフリッカーがいるかどうかでチームのPCの決定率、ひいては得点力が大きく左右されるので、サッカーにおける優秀なフリーキッカーと同じく、貴重な存在となる。
ホッケーでは普通体の右側にあるボールを打つが、このリバースヒットは体の左側のボールを打つ特殊な打ち方である。スティックを地面にと平行に寝かし、エッジを使って打つ。完全にマスターすると非常に強いボールを打てる。体の左側にあるボールを右側に持ちかえずにそのままシュート、クリアできる。レフトサイドのポジションは左側でボールを操作する場合が必然的に多くなるため、レフトサイドのポジション、特にレフトウイングには必須技術ともいえる。また、6人制ホッケーでは当初は安全面を理由にリバースヒットは禁止されていたが、現在は認められている。
相手ゴール前で、味方からのセンタリングパスや味方の打ったシュートにスティックで触り、ボールのコースを変えてゴールを狙うこと。ホッケーではサークル外からのシュートは得点にならないが、サークル外で打ったシュートをサークル内で他の選手がタッチしてゴールに入れれば得点になる。 ディフェンスホッケーにおいては、ディフェンスの際もスティックの表側(平らな面)しか使うことが出来ない。スティックの裏側でボールに触ればバックスティック、体でボールをとめればキック、体で相手の動きを妨害したらオブストラクションと、様々なファールをとられる。従ってディフェンスの際はスティックの表側という限られた面積を出来るだけ有効に使うことが必要となる。具体的には、ホッケーのボールは基本的には地面を転がっているので、ディフェンスでは出来るだけスティックを地面に平行になるまで下ろし、ボールに対してアプローチできるスティックの面積を増やすことが重要である。スティックを地面に下ろすためには腰を低くしなければならない。同時に相手の切り替えしやスピードに対応できるようなフットワークも必要になる。
スティックを地面に下ろし、相手の保持するボールに対して振って奪うこと。
ボールを保持している相手の進む先に予めスティックを地面に下ろしておき、ボールを止めるディフェンス。
片手で持ったスティックの先端で相手の保持するボールを突くこと。ボールを奪うことももちろんだが、たとえ奪えなくともジャブを突くことで相手にプレッシャーをかけ、ミスを誘発することができるので、相手をチェックする場合にジャブが利用される。また相手の視野を狭くさせて、複数のディフェンダーで囲みやすくする。ジャブを出した後は隙が大きいので、すぐにスティックを引き戻して元の体勢に戻ることが重要。 ポジションホッケーではスティックの片面しか使えず、また左利き用スティックというものが存在しないために、全ての選手にとって自分の体の右側でボールを扱う方が左側で扱うより簡単である。従ってホッケーでは右サイドからの方が攻めやすく、左サイドからの方が攻めにくい(逆に右サイドの方が守りやすく左サイドの方が守りにくい)。この性質上、右サイドのポジションの方が攻撃における役割が大きく、左サイドのポジションの方が守備における役割が大きい。 以下で最もポピュラーな3-3-3-1システムにおける各ポジションの役割を説明する。 フォーメーション
人工芝でプレーされるようになった現在、最も多く用いられるスタイル。 LW CF RW LI CH RI LH ST RH SW GK フォワード(FW)攻撃面での役割は、シュートを撃つ、PCを獲得する、ラストパスを出して得点シーンに絡むことである。守備面での役割は、前線でプレスをかけることで相手の攻撃を遅らせ、パスコースを限定し、ミスを誘うことである。ホッケーにおいてFWは絶えずポジションチェンジを繰り返すことが多く、一人の選手の役割は試合の時間帯に応じて変化する。
ミッドフィルダー(MF)攻撃面での役割は、パスを捌いて攻撃を組み立て、ときに自らサークル内に入ってシュートを撃ち得点を狙うことである。守備面での役割は、中盤のスペースを見てパスカットを狙いつつ、相手のMFのマークについて自由に攻撃させないことである。
ディフェンダー(DF)攻撃面では、アウトレットの基点になって攻撃を組み立てる役割を担う。守備面での役割は、相手のFWをマンツーマンでマークして仕事をさせないことである。
ゴールキーパー(GK)
ゴールマウスを守る最後の砦。ゴールキーパーはサークル内であれば全身を使ってボールに触れることが許されている。そのため全身に防具を付け、低いシュートに対しては足、高いシュートに対しては手とスティックで対応する。ホッケーのシュートは時速160kmを超すこともあり、高い反応速度が求められる。シュートを弾き返し失点を防ぐことが最大の役割であるが、最後尾に位置する性質上、味方守備陣への指示を出すことも非常に重要である。 脚注
関連項目
外部リンク |